絵本紹介 『まどのそとのそのまたむこう』

『かいじゅうたちのいるところ』で有名な絵本作家センダックです。
『かいじゅうたちのいるところ』しか、知らない人に
センダックがどんなに強く美しい本を書いてるか、知ってほしいです。一ファンとして。

『まどのそとのそのまたむこう』
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タイトルが良いですよね。『窓の外のそのまた向こう』って、手が届かない場所の象徴みたい。
「子供向け」の名目で数々の良質な絵本を書いているセンダックが
この本に関しては、美しい絵本を書こうと思って書いたのだろうなということが感じられます。

ホルンの練習をしている少女の傍らで、窓から忍び込むゴブリン達が
氷の人形と引き換えに、妹である赤ちゃんを攫います。
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妹を攫われたことを知った少女は、ゴブリン達を追うために窓枠を越えて外の世界に向かい
辿り着いた洞窟で、ゴブリン達の正体を暴いて、妹を奪還して戻る話なのですが
何よりも、描かれている世界の描写が美しいです。
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船乗りの父からの手紙。庭のあずまやに居る母。それを取り巻く美しい草花。
その世界の中で、攫われた妹を取り戻すことが出来るのは、少女でしかないのです。
物知り顔の大人が「暗い」「不気味」と切り捨ててしまうこの緻密で繊細な絵本世界は
少女自身が戦わなければいけない彼女にとっての現実です。

子供は、守られるための子供として生きているのではなくて、小さな人間として生きています。
それぞれの場所で守るべきものもあるし、立ち向かうべき時もあります。
そんな当たり前のことを、少女を一人の自立した人間として描くことで思い出させてくれる
この本は、子供時代の私にとっての、標のような一冊でした。
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by pinngercyee | 2012-09-17 15:57 |