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LIPHLICHが格好いいです。

私の中で、今、すごい流行っている、という言い方も上からで傲慢で嫌だな、ええと
久しぶりにグラマラスなバンドに夢中になっているので、ちょっと書かせてください。

以前、「友人に教えてもらって、格好良くて驚きました」と書いて
サラッと動画貼ったことがあるバンドなのですが、先日初めてライブへ行ってみて
さらに新しく録りなおしたというCDを聴いて以来、「何これかっこいいーーー」と
正直に書くと、ちょっとひっこみや誤魔化しきかないくらいに大好きになってしまいました。

いや、好みが合う人にしか伝わらないかもしれないですけど。
でも、一般的なビジュアル系、みたいなものに見做されて、彼らの描く濃密で蠱惑的な幻が
本来届く人に届かないのって、本当に勿体ないと思うのです。
多分、そもそも私自身、このバンドを「最近人気あるビジュアル系のバンド」として
初めて名前を知ったとしたら
「ビジュアル系は、いいや……(=_=)大人だし、最近のは興味もないし」と
聴く前に、一線を引いてしまっていたと思うのです。



先日ライブを見て、一番驚いたのが、作詞作曲全てを手掛けるというボーカル久我さんの
手指の先、靴のつま先や、髪の毛の先までに行き届いた美学の存在でした。
詞や曲にとどまらない、バンドの描く世界を全て支えているのは、この久我さんが全身に纏う
潔癖ですらある美学だということが、見ていて伝わってくること。
手指や、靴のつま先や、髪の毛の先にすら、神経が通っていると言ったらいいのかしら
一挙手一足投に至るまで、存在総てに説得力があって美しいのです。神々しいくらい。
私も(文章に関しては特に)美意識は持ちたいと思う方ですが、これほど隅々まで潔癖なほど
美意識を纏うことなんて、出来ていないことに自分を恥じる気持ちがしたのも本当です。

そして華奢な体躯の久我さんが、金髪と細いスーツでステージの中央に立ち、
視線を動かすことで場の空気が変わるのが、見ていると自然に分かります。
何かを思い出しそう、と思ってから延々と考えていたのですが、何を思い出しそうになったのか
ようやくさっき、歩いていた時に気付きました。
イエローモンキー初期の、吉井さんが作っていた濃密な歌の世界と
その傍らでバンドの作っていた音楽の幻の説得力。
例えば、『フリージアの少年』だとか、『真珠色の革命時代』のような。
(他のバンドや人を引き合いに出すのは失礼だと承知しているのですが、すみません)
何でもない薄汚いライブハウスを、神々しさや淫靡さに満ちた場所に変える魔法を持つ
私の知る限りでは、数少ないバンドだと、感じました。



上記の動画の当時から、現在ではギターの人が変わって
良い意味で、だいぶ雰囲気が変わってきていると思います。輪郭の線が濃くなったというか。
退廃的で、グラマラスで、美学が核にあるロックバンドが、ビジュアル系という流れを汲んで
少しでも多く、好きになってくれる人のところへ音楽を届けようとするということも
流れの中で動くしかない音楽に限らない日本の仕組みの中では自然なことのようにも思えます。

退廃だとか、淫靡だとか、見世物小屋だとか、グラマラスな音楽だとか
そういったものに目が留まる人には、半信半疑のままでいいので、聴いてみてほしいと思いました。
これくらい美学を全身に纏って、歌を幻の魔法に変えることのできるバンドは、居ないと思います。

あと、歌詞の言葉選びがとても面白いのと、ワンフレーズに含まれる景色が絵になります。
そして、歌詞の中、ひとつひとつに物語や情景がある三人称小説のような形のものも多いです。
三人称、というのも分かりにくいと思うのですが、言い換えるとしたら
歌っている本人と、歌詞の中の人間が別の人間で
それを歌うことで歌の登場人物を演じる要素が発生する距離と言えるかもしれません。
映画的とも言えるかもしれません。




ちょっと書くつもりが、だいぶ書いてしまいました。
ここまで読んだら、貼った動画くらい見て行ってください♡
書いた内容が本当なら気になるけど、正直褒めすぎ(買被り)じゃないか?と思う人は
ライブ行ったらいいと思うのです。
by pinngercyee | 2012-12-03 01:21 | 音楽